新しい価値観

1940年代から60年代にかけて、オメガは卓越した傑作を相次いでリリースしています。

コンステレーションやシーマスターなど、搭載するムーブメントは勿論、外装においても、大量生産という枠組みの中で価格と高品質を両立させてきました。

70~80年代、より一層の大量生産が原因となって内外装の質が下がったことがありましたが、99年にコーアクシャル脱進機を発表して以来、オメガは再び品質向上に取り組み始めました。

とりわけ2007年発表の「デ・ヴィル アワービジョン」以降、オメガは外装面においても積極的に品質向上に向かいました。

特にこのモデルでは、新規開発のCal.8500を見せようとミドルケースに削り出しのサファイヤクリスタルを採用しています。

オメガなどの中間価格帯でミドルケースにサファイヤクリスタルを使った例は無いでしょう。

 

やがて品質改善への取り組みは、よりベーシックなシーマスターやスピードマスター、新しいシーマスター300に拡大されるようになりました。

1957年発表のシーマスター300は、そもそもプロ向けの実用時計だったので、内外装の質感は ”並” で、コンステレーションと同等のクォリティは必要ありませんでした。

しかし、新しいシーマスター300にあたっては、オメガはエクステリアのレベルを一新し、ラグジュアリーウォッチの質感を与えました。

文字盤はオメガらしいブラックラッカー仕上げで、塗料の食いつきをよくするために下地を荒らす手法もファーストモデルと同じです。

しかし、下地処理が細かくなっていて、80年代や90年代のラッカー仕上げの文字盤とは別物の仕上がりになっています。

ベゼルに採用されたセラミックスもかなり手の込んだもので、セラミックスを成形した後、印字部分を浅くレーザーで削り、そこにリキッドメタルを流し込んだうえで面一になるように研磨しています。

ケースやブレスレットの作りは更に素晴らしく、サテン仕上げの目は細かく、ブレスレットのコマは全てネジで連結されており、微調整可能なバックルも無駄なガタつきはまったくありません。

ダイバーズウォッチとしては法外によくできた外装と言えると思います。

 

ラグジュアリーウォッチといってもよいほどのクォリティを与えていても、オメガはこれが実用時計であることを忘れてはいません。

セラミックベゼルの欠けを防ぐよう、セラミック製のプレートは金属製の部品の上に嵌め込んでいて、ベゼルをぶつけてもセラミックにクラックが入ることのないようにしています。

またオリジナルでは大きく飛び出していた回転ベゼル上の表示も、シンプルなドットに改められベゼル内に埋め込まれています。

これはシャツの袖口などに引っ掛けないようにという配慮です。

 

フラットな風防も防水性を落とさないようにという配慮で、クラシカルな意匠に高い質感を持ち込みながら実用性への配慮を怠らなかったと言えます。

現在の技術力から言えば、オリジナルと同じようなドーム型サファイヤ風防を作ることはできたでしょうけど、そうすると防水性が落ちてしまいますので。

 

正直なところ、デイト表示のないこのシーマスター300をメインユースの1本目、または2本目として選ぶユーザーは少ないでしょう。

しかし愛好家としては、使えるダイバーズウォッチとしてシーマスター300は常に検討に値する腕時計と言えそうです。

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